岩手大学ミュージアム植物標本室

 平成14年,岩手大学ミュージアム開設に伴い,長年教育学部と農学部で別々に管理保管されてきたさく葉標本や植物病理標本等,約16万点を総合して新しく植物標本室が誕生した。
 故菊地政雄教授(教育学部)と教え子達が採集した,岩手県を中心とする北東北地方のさく葉標本の10万点,盛岡高等農林学校の時代から,歴代の研究者や学生によって採集・保存されてきたさく葉標本と故内田繁太郎教授(農学部)採集のタケ・ササ類のさく標本合わせて2万 点,加えて植物病理標本8千点等がその主な内容である。
 現在では採集が禁じられている,早池峰山等の国立・国定公園内で採集された標本の数々は,学術的に貴重なばかりか一般の植物愛好家にも興味深い資料である。
 また,江戸末期に来日したロシアの植物学者マクシモヴィッチの採集助手をつとめた,須川長之助翁の作製による680点の標本は,歴史的にも注目に値する。
平成14年4月には,須田裕名誉教授の作成による「盛岡の花暦」のデータベース(http://mcl.cc.iwate-u.ac.jp/FloralCalendarMorioka/home.html)が公開され,2千件を越えるアクセスがあった。本データベースは,身近な植物の開花時期や開花期間,花期や結実期の画像および説明文より成り,教師のための教育資料として開発されたものである。
 本ミュージアム開設と同時に,「岩手大学ミュージアム植物標本データベース作成委員会(委員長:三浦修)」が設置された。そして平成15年度には,故菊地政雄教授採集の“宮城県金華山島産の維管束植物標本”千余点のさく葉標本を整理して,その採集データを入力,データベースを作成した。1956年から1967年にかけて,故菊地政雄教授が宮城県金華山島で採集した維管束植物標本の全ての採集データとその保存状態,採集された維管束植物の目録をこのデータベースで検索することが可能である。
 今後は,約7万点におよぶ未整理さく葉標本の分類・整理と並行しながら,データベース作成作業を引き続き進めて,さらなる充実を図りたい。次年度には,須川長之助採集のさく葉標本のデータベース化を予定している。

2004年3月

岩手大学ミュージアム植物標本
  データベース作成委員会 
委員長  三浦 修

岩手大学ミュージアム植物標本データベース作成委員会
委員名(平成15年度)

代表者 三浦 修   岩手大学・教育学部・教授        植物生態学
    岡田 幸助  岩手大学・農学部・教授(館長)     獣医病理学
    須田 裕   岩手大学名誉教授            植物分類学
    金澤 俊成  岩手大学・教育学部・助教授       園芸学
    瀧川 雄治  岩手大学・工学部・教授(副委員長)  有機合成化学
    吉田 等明  岩手大学・総合情報処理センター・助教授  情報工学

【連絡先】

  住所:020-8550 盛岡市上田三丁目18-8 岩手大学ミュージアム植物標本室 

  電話:019-621-6015 岩手大学事務局企画室広報係 

  E-mail address : ysuda@iwate-u./ac.jp