◎和 名  ナンテン  (メギ科)  

◎学 名  Nandina domestica Thunb. (Berberidaceae)

◎撮影場所・年月日  【花】 盛岡市 高松公園  植栽  1992,7,24. 【果実】 同 1994,12,28.

◎開花時期・開花期間

◎西南日本の暖地の山林中に野生しているが,本来の自生かどうかは問題である。中国の暖帯にも分布する。普通は人家に庭木として栽培されるほか,鉢物,盆栽,切り花,薬用など多方面に利用される。栽培による変異が多く,現在50前後の園芸品種が栽培されているという(全日本南天協会1965「南天名鑑」)。

◎ナンテン属 Nandina Thunb. は東アジアに1種,すなわちナンテンがあるのみ。 

◎乾燥した果実を漢方では南天実といって,鎮咳剤として用いており,とくに白実が賞用される。果実にはアルカロイドのナンテニン(Nantenine, C20H21NO4を含み苦味がある。葉は強壮剤に用いる。

◎和名ナンテンは「難転」に通じるために,災難をよける植物として広く全国的に屋敷内に栽培されてきた。災難を転ずるというところから,毒を消すとして食物を他人に饗するときその葉を添えて出す習慣が,広く行われ,ことに進物として食品を重箱などに入れて贈る場合,小枝をつけて持参するのは,今日でもみられる習わしである。また,庭に植えると火災よけになるとか,鬼門の方角に植えるなど,多くの俗信はその薬効と語呂合わせに基づくらしい。