◎和 名  ヤブカンゾウオニカンゾウワスレグサ  (ユリ科)   

◎学 名  Hemerocallis fulva L. var. kwanso Regel (Liliaceae)

◎撮影場所・年月日  盛岡市 高松公園  1992,7,24.

◎開花時期・開花期間

◎野原の溝の縁や堤のそばに多い多年草。ノカンゾウ H. fulva L. var. longituba (Miq.) Maxim. と似ているので花がないと区別し難いが,全体に大振りで,特に人家の近くに多いようである。中国の原産で,古く渡来して各地に広がったものらしい。三倍体で結実しない。北海道・本州・四国・九州,中国に分布する。

◎基本種のホンカンゾウ H. fulva L. var. fulva は日本には自生しない。中国では古代から知られ,今も広く栽培されている。根を利尿剤として用いる。

◎ワスレグサ属 Hemerocallis L. はユーラシアの温帯に約20種,日本には約5種が自生する。観賞用に栽培されるものあるが,一日花のためか我が国では品種改良はなされなかった。園芸品種の多くはほとんど欧米で作出されている。とくに第二次大戦後のアメリカでは交配による改良が進み,1970年代終わりには育種家も150人を数えるほどになって,膨大な園芸品種が発表された。花が一日花であることから,デイ・リリー day lily の名で親しまれ世界中に広がった。戦後アメリカが作出した園芸植物としてはセントポーリア Saintpaulia H. Wendl. と並ぶ重要なもののひとつである。

◎基本種のホンカンゾウは本萱草である。中国ではこの花を見て憂いを忘れるとの故事があり,「忘れる」に萱の文字をあてることから萱草というとのこと。ワスレグサは漢名の意訳。ヤブカンゾウは藪に生えるためで,ノカンゾウ(野萱草)よりも人の集落に近く生じることを適切に表現している。オニカンゾウは鬼萱草の意。