◎和 名  グラジオラスオランダアヤメトウショウブ  (アヤメ科)   

◎学 名  Gladiolus × hybridus hort. (Iridaceae)

◎撮影場所・年月日  盛岡市上田 岩手大学教育学部  植栽  1992,8,26.

◎開花時期・開花期間

◎単にグラジオラスとよばれている夏咲きグラジオラスは, G. × gandavensis Van Houtte を親として,多くの交雑,淘汰を繰り返して育成された,広範な園芸品種の一群を指しており,その数3万を越えるといわれている。G. × gandavensis は, G. natalensis (Eckl.) Reinw. ex Hook. G. oppositiflorus Herb. の交配から生まれた種間雑種で,ベルギーのVan Houtte 商会がこの名で1841年に販売した。爾来,多くの育種家が競い合うようにこれを交配親として改良を加え,花の咲き方,大きさ,花色,開花の早晩などの多種多様な園芸品種を作出した。

◎我が国への渡来は江戸末期から明治の初年(1867)にかけてで,「百花培養集」(松平菖翁,1847)にはその栽培法が記載されている。その後,明治26年(1893)には札幌で上島正により実生の新品種が多数つくられた。一般に栽培されるようになったのは明治末年(1912〜)からで,大輪の園芸品種が導入されるようになったのは昭和(1925〜)になってからのことである。

◎春咲き系のグラジオラスは,夏咲きのそれに比べて,花も小さく葉や茎も細いが草姿は清楚で上品である。夏咲き系とは原種や系統がまったく異なっている。

◎トウショウブ属 Gladiolus L. は200〜300種からなり,主として熱帯および南アフリカに分布,マダガスカル島には2種ある。アフリカ以外では地中海沿岸地方,中央ヨーロッパ,アラビア半島およびアジア西部に約15種が自生する。

◎和名オランダアヤメは和蘭アヤメで,西洋から渡来したことを意味し,トウショウブは唐菖蒲で,同巧異曲の命名である。