◎和 名  シャクヤク  (ボタン科)

◎学 名  Paeonia lactiflora Pall. (Paeoniaceae)

◎撮影場所・年月日  盛岡市 高松公園  1992.6,10.

◎開花時期・開花期間

◎本種は中国北部・モンゴル・シベリア東南部・朝鮮半島北部に分布する多年草。中国では紀元前にすでに薬草として栽培され,その後主に観賞用に植栽されてきた。宋時代には品種改良が進み,園芸的にもてはやされた。

◎日本でシャクヤクが観賞用として何時から栽培されたのかは明らかでないが,桃山時代の絵画に登場しているのを見ると,かなり古くから育種が進んでいたものと推測される。

◎ボタン属 Paeonia L. は,約50種がユーラシア,北アフリカ,北アメリカ西部と主として暖帯〜亜寒帯に分布する。日本には2種,ヤマシャクヤク P. japonica (Makino) Miyabe et Takeda ,ベニバナヤマシャクヤク P. obovata Maxim. が自生するが,これらは観賞用としてはあまり栽培の対象とはならず,朝鮮から伝えられたものが江戸時代に大いに栽培され品種改良も行われた。「花壇綱目」(1681)には32品種,「花譜」(1695)には100品種以上の記載があるという。

◎中国のシャクヤクをヨーロッパに伝えたのはケンペル Kaempfer, E. (1712) で,その後イギリス,フランスで品種改良が盛んにおこなわれ,またアメリカではほかのボタン属植物との種間交雑による改良がすすんだ。

◎かつてボタン属はキンポウゲ科に分類されていたが,現在は本属のみからなるボタン科 Paeoniaceae が設立されている。

◎園芸品として発達したのは,木本のボタン P. suffruticosa Andr. ,草本のシャクヤク P. lactiflora Pall. ,オランダシャクヤク P. officinalis L. およびホソバシャクヤク P. tenuifolia L. で,いずれも長い栽培の歴史と多数の優れた園芸品種がある。