◎和 名  クレマチス  (キンポウゲ科)

◎学 名  Clematis cv. (Ranunculaceae)

◎撮影場所・年月  【写真上】 盛岡市 高松公園 1995,6,7.,【写真下】

盛岡市 松園 1992,6,11.  植栽 

◎開花時期・開花期間

◎本属の園芸品種は,テッセン C. florida Thunb. ,カザグルマ C. patens Morr. et Decne., C. lanuginosa Lindl., C. viticella L. の4種の交雑によって作出されてきた。

◎日本では,カザグルマ(本州・四国・九州,朝鮮,中国東北南部に分布)および中国原産のテッセンが園芸品種の母種となってきた。

◎中国からテッセンが渡来した時期は定かではないが,桃山の美術に多くでていることから,それ以前にテッセンが導入されていたと想像される。江戸の中期(18世紀)になると,両者の花が絵画や文様に数多く描かれている。カザグルマの園芸品種はこのころから記載されていた(近衛予楽院1736没;「花木真写」)。19世紀初頭までにセンニンソウ属 Clematis L.の園芸品種をつくっていたのは日本だけである。しかし,カザグルマとテッセンとの種間交雑は行われなかったようである。

◎地中海原産のC. viticella L. を用いた育種は,R. Fortune (1812-80)が中国からテッセン,カザグルマおよびC. lanuginosa Lindl. をイギリスに導入した1836年から始まる。これらの交雑によって,優良園芸種 C. ×jackmanii T. Moore (C. lanuginosa×C. viticella)が生まれ,その後多くの園芸品種が作出された。

◎日本のカザグルマでは早くから園芸品種がつくられていた。しかし,種間交雑を行わなかったので変化が限られていた。一方ヨーロッパでは,種間交雑を取り入れたので多くの変化がえられ,園芸品種も豊富になったといえる。

◎カザグルマから作られた江戸時代の園芸品種は,明治以後消滅したものが多い。大正時代になってヨーロッパ産の園芸品種が導入された。白色の‘マダム・ファン・フーテ’Mme. Van Houtte ,と紫色の‘ザ・プレジデント’The President (写真上)が代表的品種である。今日,日本で栽培されている園芸品種は約120-130 におよぶが,正しい同定は難しい。